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[4 鷲沢×アキラ]
* 暗いお願い手を繋いで
鷲沢→アキラ



憂鬱な暗闇と金色の髪

「………」

静まり返った墓地の先にあるお寺に向かって颯爽と歩く鷲沢さんの背中を追い掛けていく

「……ぅ…」

今日の昼過ぎに、黒木さんに吹っ掛けられた挑戦もとい挑発

『お前がアキラを守れると言うなら、あそこの神社に夜中の3時に二人で行って度胸試しでもしてみろ』

ビビりな俺は勿論嫌だと再三断ったが、いかんせん鷲沢さんが納得しないらしく

『行くぞ山口』
『あっ、えっでも…!』
『俺が守ってやる』
『しししかしですね…!』
『ああ?』
『すいませんでした喜んで着いて行かせて頂きます』

何時ものように脅されて勢い任せで頷いてしまった

『よし、決まりだな』

黒木さん曰く
このゲームのルールは2つ

1、祠にある黒木さんの置いた御守りを取って来ること

2、俺を泣かせないこと(涙目も含む)

二番目のやつは正直若干腹立たしい
俺だってそんな簡単に泣かねぇよ
…涙目はあり得るかもだけど

まあそんなこんなで今物凄く薄気味悪い道を幽霊張りに怖いこの方と一緒に歩いているのである

「…おい山口、早く来い」

付かず離れずの距離を保っていた筈が
いつの間にか引き離されていて慌てて走る

「はっ、はいぃ…!」

というかさっきから何だか辺りの木々が変にざわめいているような気がしてならない

なんだ
なんなんだ
気のせいだよなうん気のせいだ

「………」

鷲沢さんは目の前に居るはずなのに、この暗闇の中じゃ些か心細く感じてしまって仕方ない
また距離を離されたりなんかしたらたまったもんじゃ無い

情けない話、今すぐにでもパニックになりそうだ

「……っ…」

微かに震えた右手を、目の前を歩く大きな背中に向かって伸ばして
白いシャツに触れるか触れないか位の感覚で指先をさ迷わせていた時

「……?」

その微妙な感覚を不審に思ったのか
怪訝そうな表情をした鷲沢さんが、俺の方を振り返って

「…ぅ…あ…」
「…何だ、どうした」

意外にも優しい声でそう訊ねてくれたから、言うなら今しか無いと

「…わ…しざわ、さん…」
「あ?」

覚悟を決めた俺は思い切って口を開いて

「…く…暗くて、俺…怖くて…っ」

そしてシャツに向けていた手をバッと情けなく差し出し直しながら

「…あの…っ、もし良かったら…手…!繋いで貰えませんか…っ!?」



本当に男として泣きたくなってくる自分の言葉に悲しくなった刹那

「…んだコレ…夢か…?」

なんと鷲沢さんが、小さくそう呟かれた後急にご自身の頬を右手で思い切り打っているのが視界に飛び込んできて

「!?」
「……いや、夢じゃ無ぇ…」

思わず言葉を失った

「……あ…あああの…っ…」
「…お前…本当に山口だな?」
「すみません残念ながら山口ですごめんなさい」
「…山口から俺に…手…っ…」

そして言葉が復旧したと同時に、またぶつぶつ独り言をこぼした金色の人が
片手で顔を覆いながら物凄い早足でどこかに向かって歩いていくから

「…うあぁあ!!わっ鷲沢さん!置いて行かないでぇえ!!」

俺の虚しい叫び声と、その直後どこかで躓いて転んだ鈍い音が深夜の神社に響いた

「……ってぇよ…もう嫌だぁ…!」



















あとがき

お前が触れた

『鷲沢さん』

俺に触れた


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