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[5 黒木×アキラ]
* 悲鳴と衝撃と横転と
黒木→アキラ



帰り道
電灯の少ない真っ暗な道を進んでいた

「今日は涼しいな」
「えっ、あっはい…」

この暗闇に溶けてしまいそうな黒い人と二人で

「もう山口さんは帰ってるか?」

月明かりだけがこの人を微かに照らして
影に混じり合うようにしてコンクリートの地面を暗闇と一緒に踵で踏む

「…あ…はい、多分…」
「流石に夜の21時じゃ、帰っていない筈が無いか…」

そうこぼしたあと小さく笑った音を近くで感じながら

「俺と飯を食っていたなんて話したら、殴り倒されそうだ」

角を曲がってあとは直進するだけの道を進もうとした時

「…ア〜キ〜ラ」
「…うっ…ひいぃぃいぃ!??」

壊れた電灯の影から誰かが俺の名前を呼んだ事に驚いて、変な奇声を上げながら縺れる足元

「…おっと」

それに素早く気付いた黒木さんが、優しく受け止めるようにして抱きしめてくれて
なんとか転倒は防いだものの

「……テメーはぁ…」
「ぎゃあぁぁ何っなにぃい…!?」

未だ正体不明の低く唸る声に
恐怖に歪んだ精神が黒木さんの逞しい首に腕を絡めてしがみついた

「…くくっ、随分と積極的だな…」

すぐ耳元で笑う低音と

「……今一体何時だと思ってんだ…?え?」

近づいてくる足音

「…そんでそこの餓鬼…」
「黒木です」

明らかに会話をしている黒い人と、どこか聞き慣れた気がするあの声に
強くつむっていた目を恐る恐る開いていけば

電灯に次第に映っていったのは、本当に見慣れた厳つい顔

「…タカ、ト…?」
「……てめぇは何でアキラと一緒に居る」
「飯を食いに行ってました」

安心した筈なのに緩まない空気

「腰に回したその汚ぇ手を今すぐ退けろ」
「嫉妬とは…貴方らしくも無いな」
「黙れ」

爪で弾くと音が響きそうな糸みたいに
張り詰めた緊張感に崩れ落ちそうだ

「…俺ぁ餓鬼の挑発に付き合ってやる程、暇じゃ無ぇ」

凍り付いた雰囲気と飲み込まれそうな不安感

「てめぇも」
「…ひっ?!」

睨まれたと同時に咄嗟に黒木さんから離れて、ガタガタ震えたまま

「…遅くなるなら電話の一本位ぇ寄越せ」
「すっすすすいませんでしたぁあ…!!」
「アキラは俺が居るから携帯が使いにくかったんですよ」
「あ?一々口はさんで来るんじゃ無ぇシめんぞ」
「…俺よりもアキラの事をシめたいんじゃ無いですか?…色んな意味で」
「……おちょくるのもいい加減にしろ、糞餓鬼」

二人の刺々しいやりとりが終わるのをひたすら待っていた














あとがき

嫉妬する山口さんに引きずられるように連れていかれたアキラ

「…くくっ」

最後に暗闇にまみれた前髪を右手で掻き上げた俺は

「やはり黒木×アキラ←タカト・鷲沢の構図が萌えるな」

肩で笑いながら家路についた



お題提供:雲の空耳と独り言+αさま


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