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神谷リョウ



 煙草をふかす。
 廊下を歩く。
 適当に邪魔な奴を蹴り飛ばす。

 寝たい時に寝て、喧嘩したい時に喧嘩して過ごす。

 そこに邪魔なのは葛城との対立だけだった。
 
 かったるい。早く終わらせたい。あんな女を落として奴を下僕に出来るなら尚更。

「…………」

 グランドを横切る途中、建物沿いにある緑の中に白い物が落ちてるのが見えてなんとなく近寄った。
 原型も殆ど無いノートの右下に、辛うじて見えた名前に眉間に皺を寄せる。

「……チッ」

 気に入らないその漢字の並びを見て、軽くノートを蹴り飛ばして、近くの池に落としてやった。
 何故気に入らないのか。あんな女に平手打ちをされた屈辱の他に沸き上がるこの苛立ちは、一体何なのか。

「糞が」

 考えるのも面倒になって踵を返す。
 どうだっていい。早くこのゲームを終わらせてやる。

 今の頭には、それしかなかった。






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