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会田黒武












長い説教を聞き終えて、一息ついた時だった

「く、黒武さん……っ!」

どうやって俺の居場所を知ったのか、汗だくになった野郎がやって来て
そのあまりに必死な形相に、方眉を上げながら聞き返す

「あ?なんだ」

そして次に聞こえた言葉に

「き、教室……!黒武さんの原稿用紙に、白柳がっ火ぃつけて……っ!」

確かに俺の背中は凍り付いた

「火ぃつけただあ!?あんの野郎さっきもあれほど……!」

説教部屋の入り口前で立ち尽くしていた俺の隣を、物凄い勢いで通り抜けて3年校舎へと走っていく斎藤の背中が消えた刹那

「……は……っ」

息をすることをようやく思い出して

「…………」

俺もゆっくりと走り出した


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